0824 7月1日から1ヶ月が経過しました
四方山話①
新しい環境に適応するということ
2023年11月にLITのさきがけが始まりました。2ヶ月間の在宅で起きたことは、多飲水でした。多飲水を止めようとすれば、全ての水道の栓を止めることになります。ましてB型を想定して作られた建物は、工夫のしようがなく、とにかく一日一日をしのいでいく以外にありませんでした。ただ、ウオーターサーバーを置くことで、「水を飲むのはウオーターサーバー」にこだわってもらうことで、おそらくやっていけるだろうと見通しを持っていました。1ヶ月後にウオーターサーバーを導入し、徐々に激しい水飲みは落ち着いていきました。
ところが、LITがオープンして間もなく同じ問題が起きました。LITの建物は、一軒家です、仕切りがあるのですが、今度は十分目が届かなくなりました。その間に、また水飲みが始まりました。ただし今回は手段が伴っていたので(自分の水筒の蓋カップを使用して飲む)対応は難しくありません。家族にお願いして、水筒を変えてもらいました。水筒を変えること自体に抵抗を見せるかと思ったのですが、それはありませんでした。こうして今は、LITに着いたら、まず自分の水筒のお茶を飲み、紙コップで4杯水を飲み、終了し、あとは休憩時間だけ水飲みをする。こうして落ち着いております。なぜ紙コップを使うのか、終わりを理解してもらう必要があります。紙コップで飲んだら、その紙コップを潰して捨てる。これで終わりを理解します。
もう1人は、送迎の車の中で他者の水筒のお茶を飲んでしまうことです。7月1日に車が間に合わなかったので代車が来たのですが、セダンだったのでトランクがありました。カバンは、トランクに入れて乗車する。これで問題はありませんでした。ところが、7月31日に注文していた送迎車が来ましたが、ワゴン車でありトランクがありません。カバンが見えるところにあったら間違いなくお茶を飲むだろうと思っていましたから、期待を裏切ることはありませんでした。予定していたので車の最後尾にトランクの代わりを作り設定しました。1日目は、設置が甘かったのでしっかりとカバンの中のお茶を飲みました。この日は自分のお茶だったのですが、他者のお茶を飲んだら車の中でとんでも無いことになります。2日目は、設置を少し頑丈にしましたがダメでした。3日目は、土曜開所日で特に仕事がなかったこともあり、本人にも手伝ってもらって、頑丈に作りました。そして、本人はお茶を飲む素振りも見せませんでした。
ASD支援のポイントの一つは、本人が分かるように工夫することだと思います。(その工夫の仕方に太田ステージは役に立ちます)何も工夫することなく、行動を抑制するだけの誤ったASD支援。この本人は、スーパーに行っても職員が行動をただ抑制することはありません。本人には、買い物のカートを押してもらいます。職員が一緒に歩きますが、望ましい行動を身につけてもらうこと、もっとポジティブにASD支援が行われることを望みます。
この1ヶ月間で感じたこと
四方山話②
こだわりにこだわるとは
ASDのこだわりとは長いお付き合いが基本
太田ステージを太田先生と共に開発した永井先生の名言があります。「こだわりにこだわっている限り、こだわりは改善されない。」本人たちと密に関わっていくと、ASDであるけれど、当然人だと感じます。40年前は失礼ながらASDの人たちがなぜそのような行動を取るのか分からず、宇宙人と呼ばれたことがありました。
人と感じてもやはりASDだと思うのが、こだわりです。「そんな事」と周りの人は思いますが、本人たちにとっては大事な事です。そのこだわりをどうしたら本人の生活を壊す事なく、うまく持っていくことができるのか、おそらく長く長く続く課題だと思います。こんなことを考えていて、いつも思い出すのが長崎の近藤原理先生の言葉です。「おおらかに、こまやかに、さりげなく」
偏食を克服するというのは、ASDにとってはこだわりの克服のようなものです。ASDの偏食とは、例えば海苔で巻いたおにぎりの海苔を取ったら食べるというようなものです。納豆のネバネバ系、梅干し酸味系等々食感や味覚に関するものは別です。こだわりに対応する際の大事なことは、本人にその気にさせることであって、強制的に対応しようとしたら力に頼ることになります。一時的にこだわりが改善したように見えても、そのように見えているだけです。
