お互いの信頼関係が基本
お互いの信頼関係とは
お互いの、本人と支援者の、信頼関係が基本です。ASDの方々と接するようになった時に、ASDを理解できませんでした。もう40年も前のことなので何が自分にそう思わせたのか忘れましたが、次第にASDの方々と信頼関係が成立しないという思い込みは違うとわかってきました。それを感覚で理解できたのが、埼玉にいた頃に近くに住んでいたASDの成年と関わるようになってからです。ほとんどの時間を一緒に過ごしました。確かに、いつも一緒に活動しているのですが、自分を頼ってくるようなことはありません。ASDの診断のない知的障がいの人であれば、頼る人との心理的距離が近くなります。自分はそれが苦手なので、ASDの成年といつも一緒に活動しても、何も苦になりませんでした。
何か劇的なことがあって、ASDの方々とも信頼関係が築けるのだと感じたのではありません。心理的に知的障がいの方とのように距離が近くなるわけではありません、でも遠くにもならないのです。このことに気がつくのに時間がかかりました。people first という活動があります。障がい者である前に、一人の人間である、当たり前のことです。そんなことより、支援者は、一人の人間としての関わり、信頼関係を基本とする関わり、だと思います。でも、信頼関係ができたから、本人が何か変わるわけではありません。
長年、全国組織 日本発達障がい連盟主催の自閉症セミナーの講師兼コーディネーターを10年ぐらい務めました。全国組織の研修ですから、自分はTAO、太田ステージを基本にしたTEACCHとABAの応用、という題で研修を行いました。その頃の連盟の中心の方は、現場で役にたつ研修という明確な方針を持っていました。その方針のもと、自分は現場が必要とするはずの研修を企画しました。でも、多くの研修は現場を知らない人たちで構成されています。研修では、客観的な裏付けがあるものが求められますので、信頼関係が基本というようなことは、研修の中で話をしておりました。
