30)福祉施設はなぜ腐る 3
福祉施設はなぜ腐る 3 職員編
佐々木は、長い間管理職を務めてきて、多くの職員を見てきました。今に限らず職員の応募が無い時期は、多くありました。この人大丈夫なのだろうか、と思う職員も採用してきました。来るもの拒まず、去る者追わずです。これを書いているのは、自分自身への戒めとして書いていると思ってください。
授産事業は別として、公費で支払われる福祉施設の運営費は、事業費・事務費・人件費に分けられます。当然福祉は人ですから、人件費が多くの割合を占めます。何十年も前は50から60%が望ましい人件費率と言われました。当時埼玉にいた頃、人件費率は80%近くを占めました。それでも、一般の給与よりは低かったと思います。そういう給与でも、この仕事をしたいと思う職員たちが福祉施設を支えていたと思います。そして給与に限らず、この人大丈夫なのだろうかと思う職員は、退職していきました。
第1種社会福祉事業、第2種社会福祉事業、それが措置費制度から契約制度に変わって、第2種福祉事業に民間会社が参入できるようになりました。そのため、第2種福祉事業を運営する法人は考えられないほど増えました。当然です。授産事業(作業活動により収益を上げる)は別として、施設の運営費は公費が利用者の数だけ入ってきますから、利用者さえ確保すれば、経営が成り立ちます。内容は、問われません。利用する方々にとって、選択肢が増えることはいいことですから、その選択により悪質な事業所は淘汰されていくはずです。でもその方向には進んでいないような印象を受けます。
ある時ウオーキングに出かけた先にワゴン車が一台止まっておりました。そのワゴン車の運転席には男性職員が一名席を倒して横になりながらスマフォをいじっておりました。5人ほど乗っていた利用者は投げられたままです。これも一つの実態なのだろうなと思いました。職員が足りないから、車と利用者を任され、ドライブに出たのでしょうか。そんなことをしててやりがいというものがあるのだろうかと、その男性職員に同情しました。それでも施設は成り立つのです。訴えることのできない利用者の方々は、どういう状況であれ、それを口に出すことはありません。その利用者の声を聞くことがなければ福祉施設は、腐って行くと思います。
行動障害は、適切支援への要求なのだという考えがあります。そうだと思いますが、行動障害がある利用者は、問題行動を持つ人というラベルを貼られます。自分が行動障害の研修を担当していた頃、ABAにある問題行動ではなく、行動問題なのだと何度も繰り返しました。問題行動とは、問題となるその人の行動、行動問題とは、その行動を引き起こす問題がある、大きな違いです。でも、このようなことも知らないで、行動障害と関わっていては、職員に謙虚さがなくなっていくのではないでしょうか。そして腐っていきます。
