080524 精神科の薬について思うこと
埼玉のけやきの郷にいた頃、まだ定員が50名だった時(今は定員を減らしています)48名が自閉症の診断があり、2名のみが自閉症の診断がありませんでした。精神科の投薬を受けていないのはこの2名のみでした。精神科の薬は難しいです。なぜ難しいのか、精神科の薬は症状に対する投薬治療であり、根本的に治療ができるものではないからだと思います。興奮・他害・自傷・奇声・睡眠等々、投薬により劇的にその症状が治ったという経験はほとんどありません。ほとんどないのですが、精神科の薬の効果を支えに、日常の根気強い働きかけを行なっていくことにより、症状は改善されていきます。
いろんなケースを経験してきましたが、例えば睡眠障害です。
入所施設で起きるかなり困る障害の一つが睡眠障害です。けやきの郷が開所したのが昭和60年ですが、当時電灯が消えることはありませんでした。思春期に睡眠障害を起こしている場合、ほとんどの方が投薬を受けます。しかし、改善されないままに入所してきた方がほとんどでした。ここで書いていることは昭和60年から少し後のことであり、第1世代から第2世代の自閉症の方々です。幼児期は受容するように指導を受け、特別支援学校も十分整備されておらず、就学猶予という言葉があった時代に成人してきた方々ですので、今とは比較できません。比較できないのですが、その症状に対する支援のあり方は参考になります。
在宅のまま睡眠障害を持っている方にどのようにアプローチしていくのか。①どうにもならず入院を選択したとすれば、投薬が増えるばかりでしょう。そしてその投薬量を減らすことがとても困難になります。睡眠障害のみで入院を選択することはありませんでした。長年入所施設にいて、入院を選択したのはたった一人、命に危険が及びそうな自傷があった方です。
②環境を変えるために日中活動も生活も家庭から切り離す、ことは重要な選択肢の一つです。でも受け入れ先がありません。重要な選択肢の一つですが、機能していないことがほとんどです。
ならどうするのか、
在宅のままで行うという条件のもとで、どうするのかです。その方の記録を具体的に行う必要があるのですが、全く寝ない睡眠障害というのはありません。睡眠のバランスが崩れていることが多いのです。早く寝てしまい、夜中に起きて、そのまま起きている。すると家族は本人に付き合わなければならず、家族が疲れ切ってしまいます。でも本人は寝ているのですから平気です。この崩れたバランスを元に戻すことなのです。一つは投薬の見直しです。睡眠障害があると、当然医師は薬を増やしていきます。しかし、これが逆作用を起こすケースを見てきました。睡眠のバランスが崩れるのは、何らかの外的な要素があります。そのことが、睡眠障害を起こすとは分からない場合がほとんどですから、気づいた時には睡眠が乱れ、薬を増やすという選択になっていきます。ところが、外的な要素があった前までは、睡眠のバランスが保たれていたのですから、その時の投薬まで戻す必要があります。そしてもう一つ、外的な要素により睡眠のバランスが崩れたのですから、もう一度外的な要素(本人の日中の環境)を変えることです。このような対応をしながら根気強く本人に働きかける必要があります。そして、成人期ですから家庭から離れることの準備をする。家庭から離れる前に行うことがあります。
